インストラクショナルデザインで効果的な研修を設計しよう!
企業における人材育成の重要性が高まる中、研修の効果を最大限に引き出すための手法として「インストラクショナルデザイン」が注目されています。この記事では、インストラクショナルデザインの基礎知識から、DDIEモデル・ガニエの9教授事象とメーガーの3つの質問まで、わかりやすく解説します。
インストラクショナルデザインとは?
インストラクショナルデザインとは、学習目標を達成するために、体系的なプロセスで研修を設計する手法です。学習者の特性やニーズを分析し、効果的な学習方法や教材を開発することで、より効率的で成果につながる研修を実現できます。
なぜインストラクショナルデザインが必要なのか?
従来の研修では、講師の経験や知識に頼ることが多く、学習者の理解度や習熟度を考慮した設計が難しい場合がありました。インストラクショナルデザインを取り入れることで、以下のメリットが期待できます。
- 学習効果の向上:
学習者のニーズに合わせた教材や学習方法を選択できるため、理解度や習熟度が向上します。 - 効率的な研修設計:
体系的なプロセスで研修を設計することで、時間やコストを削減できます。 - 研修効果の測定:
学習目標を明確にすることで、研修効果を客観的に測定し、改善につなげることができます。
インストラクショナルデザインの5つのステップ
インストラクショナルデザインは、以下の5つのステップで構成されます。以下はADDIEモデルといわれています。ADDIEの各ステップを順番に進めて、システム的アプローチにおける「フィードバックと修正」のループを経ることで、研修をより良いものにしていくのです。
ADDIEモデル | 株式会社TRADECREATE|教育、研修による人材開発支援
- 分析(Analysis):
研修の目的や対象者、学習環境などを分析し、学習目標を設定します。
- 研修の目的:
研修を通して何を達成したいのかを明確にします。 - 対象者:
研修の対象となる従業員の知識レベルやスキル、学習スタイルなどを把握します。 - 学習環境:
研修を実施する場所や時間、使用するツールなどを考慮します。
- 研修の目的:
- 設計(Design):
学習目標を達成するための具体的な学習内容や教材、評価方法などを設計します。
- 学習目標:
研修終了後に学習者がどのような知識やスキルを習得しているべきかを具体的に設定します。 - 学習内容:
学習目標を達成するために必要な知識やスキルを網羅し、体系的に整理します。 - 学習方法:
対象者の特性や学習内容に合わせて、講義形式、グループワーク、eラーニングなど、適切な学習方法を選択します。 - 教材:
学習内容を効果的に伝えるための教材(テキスト、動画、プレゼンテーション資料など)を開発します。 - 評価方法:
学習目標の達成度を測るための評価方法(テスト、レポート、実技試験など)を決定します。
- 学習目標:
- 開発(Development):
設計に基づいて、教材やツールを開発します。- 教材開発:
設計に基づいて、教材やツールを開発します。 - ツール選定:
eラーニングシステムやオンライン会議ツールなど、研修に必要なツールを選定します。
- 教材開発:
- 実施(Implementation):
開発した教材やツールを用いて、研修を実施します。- 研修準備:
研修会場等の準備、教材の配布、ツールの設定などを行います。 - 研修運営:
研修の進行管理、質疑応答対応、学習者のサポートなどを行います。
- 研修準備:
- 評価(Evaluation):
研修の効果を測定し、改善点を見つけます。- 研修効果測定:
研修終了後に、アンケートやテストなどを通じて、学習目標の達成度を測定します。 - 改善点の抽出:
研修効果測定の結果を分析し、改善点を見つけます。 - 次回研修への反映:
改善点を次回の研修設計に反映させます。
- 研修効果測定:
ガニエの9教授事象を研修設計に活かす
ガニエの9教授事象は、学習者が新しい知識やスキルを習得するプロセスを9つの段階に分けて示した理論です。それぞれの段階で適切な働きかけを行うことで、効果的な学習を促すことができます。
- 注意を引きつける: 研修の導入部分で、興味深い事例やクイズ、動画などを活用して、学習者の関心を引きつけます。
- 目標を知らせる: 研修の目的や目標を明確に伝え、学習者が何を学ぶべきかを理解できるようにします。
- 前提知識を想起させる: 研修内容に関連する既存の知識や経験を思い出す機会を設け、新しい知識との繋がりを意識させます。
- 新しい情報を提示する: 分かりやすい言葉や図解を用いて、新しい情報を体系的に提示します。
- 学習の指針を与える: 学習内容を整理し、重要なポイントを強調することで、学習者が理解しやすいように導きます。
- 練習の機会を与える: 演習問題やロールプレイングなどを通して、学習内容を実際に活用する機会を設けます。
- フィードバックを与える: 学習者のパフォーマンスに対して、具体的なフィードバックを提供し、改善点を明確にします。
- 評価を行う: テストやレポートなどを通して、学習目標の達成度を評価します。
- 保持と転移を促進する: 学習した内容を実際の業務で活用できるよう、フォローアップ研修やOJTなどを実施します。
メーガーの3つの質問で人材育成戦略を明確にする
メーガーの3つの質問は、研修設計だけでなく、人材育成戦略全体を考える上でも重要な指針となります。
- 研修の目標は何か? (Where am I going?)
- どのような人材を育成したいのか?
- どのようなスキルや能力を習得させたいのか?
- 研修を通して、どのような成果を期待するのか?
- 研修の目標達成をどのように評価するか? (How do I know when I get there?)
- 研修効果を測定するための具体的な指標を設定します。
- 定期的な評価を行い、目標達成度を確認します。
- 研修の目標を達成するためにどのような方法を用いるか? (How do I get there?)
- 研修内容、教材、学習方法などを具体的に検討します。
- 研修後のフォローアップ体制も整備します。
人材育成戦略のポイント
最後に人材育成戦略のポイントについてお話しします。
- 経営戦略との連携: 人材育成戦略は、企業の経営戦略と連携している必要があります。経営目標を達成するために、どのような人材が必要なのかを明確にし、それに合わせた育成計画を立てましょう。
- 多様な学習機会の提供: 研修だけでなく、OJT、メンタリング、自己啓発支援など、多様な学習機会を提供することで、従業員の主体的な成長を促します。
- 継続的な評価と改善: 研修効果を定期的に評価し、改善点を洗い出すことで、より効果的な人材育成を実現します。
- 個人のキャリアプランとの連携: 従業員一人ひとりのキャリアプランと人材育成戦略を連携させることで、モチベーション向上や定着率向上に繋がります。
まとめ
ADDIEモデルやガニエの9教授事象とメーガーの3つの質問は、人材育成戦略を効果的に進めるための強力なツールです。これらの理論を活用し、企業の目標達成に貢献できる人材を育成しましょう。
株式会社TRADECREATEはインストラクショナルデザインベースの研修及び評価指標を開発しています。