ビジネスアナリシスにおけるビジネスケース

 ビジネスアナリシスにおいて、ビジネスケースはプロジェクトの推進を判断するための重要な資料となります。これは、単なる企画書や事業計画書ではなく、提案ソリューションの妥当性を検証し、関係者に合意を得るための強力なツールです。

 BABOKでは、ビジネスケースを以下のように定義しています。

ソリューションの使用により期待される便益を基盤とし、そのソリューションを獲得、維持するのに必要なコスト、工数、その他の検討事項を比較することにより、ソリューションに関する一連の行動が正当であること。

つまり、ビジネスケースは、ソリューション導入によるメリットとデメリットを客観的なデータに基づいて分析し、投資判断を容易にするものです。具体的には、以下の項目を盛り込みます。

  • ビジネスゴールとビジネス目標: ソリューション導入によって達成したい目標を明確にします。
  • 実現可能性評価結果: ソリューションの技術的な実現可能性や、市場性などを評価します。
  • プロダクトロードマップ: ソリューション開発のスケジュールとロードマップを示します。
  • 推奨されたソリューション案: 複数のソリューション案の中から、最適なものを提案します。
  • 価値の実現度合い: ソリューション導入による効果を測定するための指標を設定します。

 ビジネスケースは、プロジェクトの初期段階で作成されますが、プロジェクト進行中に状況に合わせて更新していくことが重要です。関係者全員が共通認識を持ち、プロジェクトを円滑に進めるために、ビジネスケースは常に最新の状態を保つ必要があります。

このように、ビジネスケースは事業計画書と同様に、プロジェクトの成功を左右する重要な役割を果たします。ビジネスアナリストは、関係者とのコミュニケーションを密にとりながら、説得力のあるビジネスケースを作成することが求められます。